青い翼/卯左飛四
 

誓いを破って青い翼を使ったぼくは
きみの瞳を見つめ返すことができない

きみはだまって
ぼくから青い翼を取り上げた
そして背中に翼をつけると
全身から蒼い光を放ってきみは
空のかなたに消えてしまった

いばらの棘が刺さった小指から
幾筋もの血が滴り続ける
夢中で蔓をたぐり寄せたが
先にはなんの手ごたえもなかった

なぜただ一度の誘惑に
ぼくは克てなかったのだろう
もう戻らない
彼女も 青い翼も
ふたりで叶えるはずだった願いもすべて

かつてふたりをつないだ一本の蔓
ぼくは自分のからだ中に巻きつけた
空の上の彼女からよく見えるように
森でいちばん高い樹のてっぺんにのぼって


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