「たちつてと」(「五十一のデッサン」より)/たもつ
 
つるがとべない
つるがとべないつるが
つつつつつるが
がるつるが
とべないがつると
ととべない
とべとべつる!
がつる
るるる
るるるるとべない
つるがとべない

突然に空を見失って



(て)

定価は三百円
消費税をあわせれば三百十五円
それはそれとして
僕らは花見に行く
花を見に行く
定価三百円のものを持っていく
午後の春は放っておくと
鉄の酸化する音ばかり聞こえる
だから君は
そんなに泣いてはいけない



(と)

小鳥屋のおじさんは
鳥よりも速く走ることができます
毎日インコたちに
「ご主人様は鳥よりも偉い」
と教えようとするのですが
「コンバンハ」
しか言わないものだから
そのお店には朝が来ません
ある夜、西の空で
小規模な流星群が観測されました
コンバンハ
コンバンハ
これは誰かに宛てた
手紙からの引用です




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