ふたつのキ/石川和広
 
んなこと聞けない
友達が木になってぼくは狂いそうになる
そういえばメールなんでこないんだろう
メールは一枚の葉っぱより軽い
だからつないでおかないと消えてしまいそう

風が吹く
小さな公園
ぼくは友達が手を振るのをみる
手はやはり葉っぱだ
ふたりで川の向こうへいこう
そしてきみはぼくを木にしているだろうか
それならふたりじっと立っている
朽ち果てるまで立って
この世界の行く先を見ているだろうか

ぼくは少し木になっただけなんだ
きみのことが
ちゃんと眠って
ちゃんと忘れたら
また
きみのこと正しく思い出せる気がする

きみが木になって
ちょっとしたきっかけで木になって
それからぼくは正しくまた君に会う
気になる姿で


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