[ 鳥篭 ]/渕崎。
 
弱いわたしは
記憶を心の奥底深くに仕舞い込み
雁字搦めの無茶苦茶に
厳重に厳重に鎖を巻いて鍵をかけた
時折壊れた個所から漏れてくる
記憶の欠片を見ない振りして
ただ強がって茶化して笑った
理論で武装し知識で防御し
傷つくのを酷く怖れて
自ら狭い狭い鳥篭に身を預けた
空はいつでも見えたけれど
自由に飛ぶことは叶わなかった
鳥篭の鍵はこの胸にかけてあるのに
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