魔の山を下って/atsuchan69
 
{引用=
憂いの王、ルードリッヒ二世。
芸術の森と白亜の城に棲みながら、生きる屍も同然の暮らし。
エリザベートへの生涯変わらぬ愛。そして悲恋。
ワーグナーの裏切り。
ああ、なんて残酷。なんて狂おしいことだろう。
エリザベート、なぜあなたは彼をもっと深く理解しなかったの?
威厳と誇りを捨てて、ただ彼のためになぜ共に生きなかったの?

その点、ボクはお気楽。狂おしい気持ちには、麻痺する術を心得ている。
ワーグナーよりも狡猾で裏切り者だ。
あまりにも鋭利な美と恋愛は、幸福(平凡)な人生を破滅へと導く。
ルードリッヒ。その暮らしと退廃の美。
むかしビスコンティの「神々の黄昏」を一
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