「二人の絵」 海月と雨宮一縷/海月
 
手紙が合った


僕は君の描いている絵が好きです。
描いた絵は好きですが、君のことも好きになっています。
もし、宜しければ手紙を下さい


心に受けた印象は大きく
誰かの運命に影響を出していた
私はその人に向かい手紙を書いていた


私の幻想を見続ける貴方
一枚の花弁は水面を撫でる
時が満ちれば水の中に深く沈む
ただ、其処に水がなければ・・・
君から届いた手紙にはそう書いてあった

私が見せるもう一人の私
自画像は描かない主義だったのに描いていた
鏡の中の私は虚ろな目をしていた

あれから数年が経ち
君からの手紙は後にも先にもたった一通だ
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