グダン・ガラムの夕暮れ/遊羽
はまだ空が明るすぎ
もう少し僕は裏路地を進んでみる
シクロが僕を追い越して宵闇に融けていく
壁にもたれかゝって
グダン・ガラムにまた火をつける
甘い香りの煙が弱い波を立て
赤い空へと吸い込まれていった
モスクのコーランがいつしか終わっていたことに
気づくまでそれほどの時間はかゝらなかった
昼間見かけた日本人は
もう空港から遠くへと去っていったのだろう
薬の屋台の客は また一人家路へと戻っていった
空腹を感じながらも
まだインドネシア語のメニューには慣れず
最後のグダン・ガラムに火をつけて
また表通りへと歩き始める
街の灯が優しく 僕を迎え入れる
さっきまで赤かった空は
徐々にその色を黒ずませ この街に夜が来る
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