ファンタジア/松本 卓也
きたいと願う僕も居る
ふわふわの雲に跨って
三日月にワインを注いでみせる
飲み干すには多すぎるから
空に垂れ流してみると
偽りの光を纏った星ができていた
罰を待つ整理券を握り締めながら
幸福でない原因を探ってみると
裏切られた人達は僕に指を差しながら
見捨てた人達に向けて僕の罪を教えるけど
知らないフリをしていれば何も聞こえない
「分かりきった事を言うな 阿呆が」
タバコの煙を即座に雲としながら
霹靂の刃に切り刻まれている
別に痛くも痒くもないのだから
雨が降っている程度にしか見えない
分かっているんだ
ここは僕が生きる世界じゃない
気楽ではあるのだろうけど
せいぜい暇つぶしにしかならない
だからこの幻想を踏み越えて
もっとリアルな世界で
生きたいと誓う僕が居た
分かってるつもりだ
幻想に遊んでいたとしても
現実の時は確実に削れながら
近々の終止符へと近づいている
こんな悠長な幻想を踏み越えた
ずっとリアルな世界で
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