夜明け/MOJO
午四前時だというのに、窓の外は薄明るい。
季節は少しずつ移ろうのだろうが、いつもその変化に唐突に気づく。
そういえば今着てるものは半そでのTシャツである。
数週間まえまでは前開きのフリースを羽織っていたのに。
遠くで鴉が鳴く。別の鴉が返事をかえす。
「おい、そろそろゴミ袋を漁ろうぜ」
「いや、おれは生まれたての仔猫を狙いに公園の茂みに行く」
そんなやりとりに聞こえる。
半分開いた窓からひんやりとした風が流れてくる。
その網戸越しに見える柿の木の枝には瑞々しい緑の葉が茂っている。
おそらく今は、一年中で最も心地よい季節の心地よい時間帯であろう。
こんな気持ち
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