解き放て、スペシウム光線/加藤泰清
 

それからバルタンは
ジャミラの電話番号を教えてくれた

彼女は顔がこわいから
きっと力になるよ

ぼくは女性とおはなしなんて
できやしないんだ
なんて
いえやしない
バルタンだから

ゼットンは狩られた
ジャミラもすでに煮込まれていたらしい
バルタンも音信不通だ
他にもたくさん飛び散っただろう

ぼくは彼らのものまねをしてみた
貧弱な影が白い壁に映りこんで
おどっていたよ
さけんでいたよ
かがやいていたよ

いたいよ

ぼくのうしろにファミリーは集まった
不意打ちのスペシウム光線だった
ぼくの小さい体には
不相応すぎた

白い壁に
青さが溜まって
ぼくは幾分ゆるやかに
影が濃く染まっていくのに
気付いた
青さが白さの手前で
吸いこまれた

ぼくはどこも よごれていない
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