ユリナについて(序)<推敲版>/セイミー
 
うのが正しい。だ
から、自分が猫たちの母であるようにふるまうこと
が、きっと母がユリナにしてくれたことだろうと思
い込んでいる。
ユリナの左肺には、ぽっかりと穴が空いている。
その穴を幾羽かのツバメが通っていったが、そこに
とどまることはなかった。ユリナに、とどまるべき
理由がなかったように、ユリナを訪れた動物たちも
そこにとどまる理由を見つけられなかった。
ユリナについて書こうと思った。
でも、こんな詩行では、ユリナについて書き尽くせ
なかった。夕日は、ユリナの指先で振り出しに戻っ
ていった。
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