吊られた葉っぱ/加藤泰清
 

回転 回転 踊れ踊れと息を吹く



息音の短さに 驚いた 驚いた



回転 回転 どうやらロープが喰い込んで



今夜中に散りそうもない






五月八日 晴れ
デパートのトイレに駆け込んだ。一辺の個室でから、からから、から、と紙を巻き取る音、隣りから屁が木霊する。彼は私の穴と云う穴を犯す。から、からから、から。私は木壁を殴った人だ。隣りのドアがだんと開いた。から、からから、からもう紙がない。替えがどこにも置いてない。私は便座に身を投げた。海よりも深く沈んだ体よ。アンモニアの香りが鼻を刺すので、妙に恐縮してしまう、だふうとしたことが、恐れている
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