潮目/石川和広
かして、そう思う
もちろん老後のことではない
決して、まっすぐには立てていないし
疲れは、すぐにやってくるが
最近のぼくは奇妙に明るい
奇妙である
前より寝覚めがよく
まっすぐではないが、斜にもかまえていない
波はうずまいて
いい天気が暮れてゆくと
そこには救急車の音
四月の終わり
しつこいぐらい
ベランダに止まりにくる鳩
充分ではないが平和であり
充分ではないが破壊が進行している
ぼくらが悪魔の目にみつめられ、ねじくれる日が
いつ来ないといえようか
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