海峡/遊羽
 
僕は反対方向の
カラキョイへと向かいます
チュネルで長い坂を下り
時間までには
ハイダルパシャ駅へ行かねばなりません
遅い朝が目を覚まし
真横から朝日を受けながら
僕は一人で
イスタンブールを離れます
鉛色の海峡が
今朝の光を反射し始める頃
渡し船に乗って
ウスクダラへと向かいます
トルコ語はよくわかりません
けれども自分一人で
切符でも食事でもなんでも
こなしていかなければな
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