ブレイン・イーター/do_pi_can
 
でございます。

一期一会と申しますが,これは,すごい事でありました。
65年の人生と,若干20年の人生が,このような形で交差するのです。
そこに,何も起こらないわけはございません。
一天俄かに掻き曇り,雷鳴の一つもあり,他の大学院生は逃げ惑い,
突如暗転した実験室の中で,私と老婆の互いの感情がスパークするくらいの事があっても,
何の不思議もございません。
二人で,豪雨の中,アルゼンチンタンゴを踊っても良かったくらいです。

が,しかし,現実は非情でございます。
老婆の脳は,黙して何も語らず。
切っても,切っても,卵豆腐のような灰白質の断面が現れるのみ。
切っても,切って
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