歴史は結局,街に吸収されていく/do_pi_can
 


我々は,路上に舞い降りた鳩のような目で歴史の真実を見ていた



私は,昨日の君の裸体を思い浮かべている

そのはるかかなたでは,人の皮膚が裂け,骨が砕け,内臓が粉砕される

ここにあるのは,寒気の空と,冷たい風と,緩やかな倦怠だ



信号が変わり,

老婆は無事に渡り終え,

少女の群れは角を曲がって,もう見えない。

私は,住宅ローンの残高を計算しながら

丼屋を出る。

寒気の空と,冷たい風と,緩やかな倦怠の中で

身をすくめる

ここにあるのは,それだけだ。



戦いの火蓋は,切られない






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