桜貝/石川あんこ
 
           
              天空から黄金比を描く時折酷な、寒風
 
       桜貝が冷気を湛えた重厚な敷物に変化する過程、断続

      滑らかな覆面を深く突刺し三次元に伸びる触手の、根幹

       それは桜貝が化粧した大きな冷保存の砂糖菓子、結晶

       何万年前の流星群の屍骸が鈍く生息する一瞬の、永遠

   磨りガラスの溶解を待機する細長き反射の底では微かな、生命

     
          
   
             ある雪国の心象風景です。

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