脳内生物ミズキちゃん/加藤泰清
ミズキちゃんはオレの友達、とその手が答える。昼休みに、彼の机の前に座り、俺は彼に質問する。
「ミズキちゃんってどんなヤツなん?」
可愛いくて、やさしくて、いろいろしてくれる。その手がにやける。その時後ろで確かな笑い声がした。彼を嘲笑しているのか、彼と対話している俺に対しての失笑か。しかし俺は振り返らずに質問を続ける。
「いろいろって例えば? なにしてくれんの?」
例えばオレが忘れ物をした時に「今日は○○を持っていかなきゃ!」って教えてくれるし、テスト中も「ここの答えは△△だよ」って教えてくれる。そう言った途端、彼はぼさぼさで脂ぎった頭を小刻みに振り出した。恐らく今イヤホンから何かの曲
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