ROREPME/腰抜け若鶏
「お前、ついてきてくれたのか」
それがうれしくて
あんまりにもうれしくて
ヨロヨロと歩み寄ってきたその犬を目一杯抱きしめる
嬉しそうに尻尾が揺れた
「この中にいるらしい」
「やっと追い詰めたぞ、暴君め」
たくさんの人の気配
そこには目をギラギラさせた男達が
手には凶器を持っていた
身動きのできない主人を守ろうと
ボロボロの体で精一杯のうなり声をあげる
たった一匹の家来
「邪魔するな!」
振り下ろされた斧と甲高い悲鳴
自分を守ろうと飛びかかり
血まみれになって目の前に転がった
たった一人の家来
それを見て
王は、初めて本物の涙を流した
その涙は死ぬまで止まることはなかった
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