薬理詩人ヘノ手紙/六崎杏介
 
し、其れらすらも失ってしまったら
私達は死ねば良いのである
気分があなたをそうさせるのなら
花咲き乱れる温室を巡りウッテツケの墓場を探したり
適当な誰かに犯罪者として関係を持ってからでもいい
(大丈夫、私達はそれをしくじる程不器用では無い)
そう、楽園への憧憬を失えば死ねば良いのである。

天使の胎内の世界で私達は
楽園を希求する、完全なハーモニーを

私達には楽園への永住権は無いのだ
ただ、遠くエデンの幻視を追いかけるだけだ
しかし、いつしか私達自身がワインの河に
投げ込まれる日が来たるならば
私達の死体は楽園に流れ着くかも知れない。
ああ、それすらも幻視であろうとも!

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