いつもポケットに詩人/佐々宝砂
私の仕事はガテン系なので、仕事中は、いわゆるカーゴパンツ、動きやすく、大きなポケットがいっぱいあるズボン、それも男物を穿いている。男物の服のポケットは、女物のそれに比べると段違いに大きく使いやすい。財布が入るのは当たり前で、手帳が入る、携帯が入る、軍手が入る、カッターナイフもガムテープも入る、なんて便利なんだろう、と思ってからかなり経ってふと気づいた。このサイズなら文庫本も入る。京極夏彦の本みたいにあまりにも厚いのは入らないが、普通の厚さなら入る。
そう気づいてからというもの、私のカーゴパンツのポケットには、いつも本が入っている。昨日はラフカディオ・ハーンの『骨董』を入れていた。今日はエドワ
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