神の死骸がもたらした問い/麒麟
僕らとっくに気づいている。
都合のいい絶望まがいと、出来損ないの未来を
引き受けていた空の向こう、
「神様」は死んでしまった。
それは遥かなる昔
人が車輪や羽を手に入れた頃だろうか。
「…あの、つまりは。手に入らない物が欲しいんです。」
手の届く快楽などただの日常で、
羊のふりをした。
いや、悪魔を宿した哀れな信者。
あぁ、また絶望まがいを宿して、
神の死骸にすがりつく。
「満たされない!あぁ、満たされない!」と
彼らは悪魔を肯定し始めた。
年老いた悪魔達を見て、
悩める僕らは問われている。
いずれ、人は神の死骸に種を埋めるだろう。
つまるところは、種を見つける者と、種をまく者だ。
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