詩集「詩遊人たち」読後感/三州生桑
 


まんまるになるまでのアタシを
ちぃさく おほきく
まもってくれた

アタシのだいじなカラザたち
たいせつにするよ

これからもよろしく
ね』

この、ひらがなとカタカナだけで書かれた詩の、何といふ重み!
空疎な言葉は一語として使はれてゐない。

◎水口京子
ユニークにして挑発的。
魔のイメージ。聖と濁の混淆。
ひときは異彩を放つ詩人。
活字がドロリと溶け出すやうだ。

『人魚奇譚

 (前略)
ああ、もう
ヒトは包丁を研いでゐるよ
切り刻んで肉を売れば
末代まで安穏と暮らせる財とならう

オマヘの児は
白い肌に緑青の鱗
瞳は紫紺に
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