風/
和泉 輪
私に風が吹いたので
草が揺れ 花が揺れた
蝶がはばたいたので
私が揺れ 風が吹いた
今が流されてしまった
私は尋ねてまわる
知らない場所から
知らない場所へと
風が通り過ぎてゆく
流された一瞬と共に
全てに優しく触れている
そしておそらく
風鈴を何回か鳴らすだろう
人の笑い声を乗せるだろう
そうして見知らぬ誰かにも
同じ風は吹くのだろう
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