風は...../do_pi_can
の涙なんか見たかて
しょうないわ
そらそうや
伸びをして,
とぼとぼと,家路につく老婆の背中を
風が押す
そないにきつう押したら,こけてまうがな
こかしたろ,
息子や孫に合わせたろ
息子の嫁は逃げてんろ
あほ言いな
誰が墓守すんねんな
家傾いて,隙間風びゅうびゅうやけど頑張ってんのは
墓があるからやん
おじいさんは,はよから入ったあるし
息子や孫がいてるし
誰か見たらなあかんやん
草,誰抜くねん
水,誰がやんねん
風は
少し考える風であったが,
今日は,こかすのやめたろ,
そう言うと,
老婆の手ぬぐいをポーンと空高く投げ上げた。
そして,また,
あの朝を思い出しながら
吹きすさぶ。
沢山の悲鳴を
いまだ,その体内のどこかに残しながら
山へ,海へと,
吹きすさぶ
都市の灯りが
瞬いている
星より
明い
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