月を抱く/千月 話子
 
家庭のように受け止める
下弦の四分の三月のような 静かな月子

その顔にルビーを持って 口付ける
下弦の三日月のような 妖艶な月子


ところで 一番好きな月子というと
下弦の半月のように 私だけを
ただ 私だけを見つめて
腹と腹 胸と胸をくっ付けて
ときとき と心を交わし
二人して 大きな白い月になった
あの夜に あの 夜に



今夜 空に月は無く 新月
私達が羨ましいのか

連れ去った 消え去った
女の名前を 冷えた息で呼んでみた

   月子。



 





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