あの、手紙は/たりぽん(大理 奔)
 
れた喫煙所の
ちっぽけな灰皿の上に手紙をちぎり捨て
そしてマッチで火をつける
薄っぺらな封筒は
宛名も差出名も
手紙が伝えたかった文字とともに
ちっぽけな空
薄煙になって立ち上っていく

吸わない煙草に火をつけて
ふと思う

もしかするとあの手紙は
郵便受けの暗闇からやってきて
立ち上る煙のような淋しさと
届かない想い悲しさを
僕に、届けにきたのかも
知れないと




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