真実の鏡/
落合朱美
、できるだけ俯いて足早に歩く
爽やかな朝の通勤ラッシュの中で
私だけが顔を上げられずに
開店前のブティックのショウウインドウの前で
私はありったけの勇気をふりしぼって
自分の姿を映してみた
嗚呼・・・
前髪をカーラーで巻き上げたままの私が映る
それはよくあるオチなのだけれど
私はその場に崩れ落ち
朝の気忙しい雑踏の中
道端にへたり込んだ私は
人目もはばからずにさめざめと泣いた
戻る
編
削
Point
(12)