祭りのあと/佐野権太
 
厳かな表情は
白い和紙に包まれて
丁寧にしまわれていく
もうしばらくは
という
僕の意見は
宙に浮いたまま

ぐずっていた子供たちは
いつのまにか嬉々として
桃、橘と桐箱の中へ

(そういうものよ
と、君は
理不尽な慣習をなぞらえ
またひとり抱き上げる

きっと
いつの日か
白絹に目元を隠し
ひとり
またひとり

そういうものか

わかってる
わかってはいるんだ

ぽっかりと空いた
ささくれた畳に

やわらかい春

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