稲村つぐ詩集「四線譜」を読みて/三州生桑
稲村つぐ氏の、文学に対する視野といふものは、相当に広汎なのではあるまいか。
私の文学的視野はピンホールのやうに狭窄であり、氏のそれは広角レンズ、否、魚眼レンズのやうに広く開いてゐる。
稲村氏の詩集「四線譜」に横溢する豊饒な詩語に触れ、まっ先に私はさう感じた。
有り体に言ふと、現代詩フォーラムにアップされてゐる稲村氏の四行詩は、私には難解すぎて良く解らない。
しかし、紙に印刷され(大豆油インクで!)、一冊の本にまとめられた詩作に目を通すと、モニターで読んだ時のそれとはまるで違った印象を受けた。
つまり、私は「四線譜」から詩的な刺激を受けたのだ。
ごく狭い視野しか持たぬ私を触発する詩集
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