明日につないでいく/ブルース瀬戸内
私は、ふいに立ち止まって
不敵に構える明日を早送りしようとしたり
吸着する昨日にエフェクトをかけようとしたり
見えないものに頑としてしがみついたり
鮮明に見えるものを素っ気なく扱ったりします。
あなたはそれでも優しい顔で
不器用な私をともかくも食卓へ誘ったり
迷惑ばかりかける私の身体を心配してくれたりして
本当に
一度や二度の涙では感謝を言い尽くせません。
だから私は
世界が疑いもなくそこにあるのだと
あなたが疑いもなくそこにいるのだと
数多の哲学書を放り投げて
信じるに至っています。
私はあなたの作ったオムライスを食べながら
そう信じるに至っています。
その時あなたは
私がケチャップを服に飛ばさないか
その行方を見守っています。
そうしたことが
そうした他愛もないことが
昨日を今日に、今日を明日に
揺るぐことなく、つないでいきます。
戻る 編 削 Point(4)