[ 天使と僕(ゆうやけ)]/渕崎。
なのです』と繰り返した。
自称天使がいうことには、
死んだ人間の魂というものは死神によって集められ、
まとめてその日の夕日にくべられて火葬されるんだそうだ。
火葬された魂は?と訊ねたら、
自称天使は少し胸を張って答えた。
『夕焼けで火葬がすんだなら、今度はわたくし達の出番です』
夕日で火葬され浄化された魂を回収してゆっくり天界で孵化させたなら、
来るべき日に来るべき場所を決め、また地上に返す。
それが天使の仕事なのだという。
「コウノトリかよ」と突っ込んだら、まぁ似たようなものですと笑って返された。
『夕焼けは魂の火葬なのです』
長い影の伸びる向こうで、
燃えるような夕日がビルの合間に消えてった。
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