はだしの少女/紫翠
はだしの少女
歩き出せば 誰かのかなしみを踏んづけてしまうから
この切り株から、絶対に降りないの
そうして何年も 赤い靴とにらめっこ
あれだけは履きたくないし…
森のうさぎはいいわよね
足の裏に 柔らかな毛がいっぱいあって
だけどここはつまらない
だって 私がやっと丸くなれる位っきゃないんですもの
あるとき、お日さまの温もりとそよ風が 一緒になって 私に話し掛けた
木のくつを作ってもいい、例え不恰好でも
足捌きを覚え、見抜く瞳を育ててもいい そりゃあ、初めは躓くだろう
それでも 歩き出せば君は 一歩ごと、今より森を愛するだろう
草原や、海、街を知るだろう
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