空になりたい/夕凪ここあ
ってきました
終わりが近づいてくるのが
自分でもわかります
それでも夕焼けだけはしっかりと
この目に焼き付けました
かごの中に
私の小さな欠片にも似たものが
はらり、はらり
と落ちていきます
あの日
空に手を伸ばしたことを思い出し
小さな声で泣きました
私はついに
空に触れることなく
欠片の中で
長い長い眠りにつきました
(私の泣いた声は
誰にも鳴き声にしか聞こえなかったといいます)
あぁ、
もしこの次目覚めることがあったなら
私は空になりたい
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