[ 砂時計 ]/渕崎。
 
ったりはいたしません
そんなことは十分に承知しているのです
これはただの大人げのない、子供の癇癪にも似た衝動です

されど粉々に砕け散った砂時計は何処か滑稽で
わたくしはくすくすと笑い声を立てながら
硝子に閉じ込められていた砂を拾って
空高く振りまいてみたのです
きらりきらりと太陽に反射したその光の粒は
たいそう美しくありました

その瞬間
粉々に砕け散った砂時計まで愛おしくなったわたくしは
出来うる限り砕け散った硝子を拾い集め
今度は硝子で砂時計を造ってみました
その砂時計は、酷く不規則に落ちていきます
もう、この砂時計は砂時計の役割を望めないでしょう

けれど、それでいいと思うのです
人の一生など、一定のはずがないのですから

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