恋愛詩の可能性/岡部淳太郎
 
を制御して書くには技術が必要になってくる。だから、下手に恋愛詩などに手を出さない方が身のためだ、というのが僕の考えだ。
 しかし、一方では、詩というものはどんなものをテーマにしても良いとも思う。孤独、絶望、恐怖、ある情景、物語、文明批評、言葉遊び。どんなものでも詩にして構わないのだ。それならば、恋愛をテーマに詩を書いてもいっこうに差し支えないということになる。小説においては恋愛小説というものが一ジャンルを形成しているのだが、詩(特に日本の現代詩)では恋愛詩は何だか肩身が狭そうだ。前記のような技術上の難しさがあることはもちろんだが、詩人たちが恋愛をテーマにすることに及び腰になっているような雰囲気も
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