恋愛詩の可能性/岡部淳太郎
 
 以前から思っていたのだが、恋愛というものは詩のテーマにするにはあまりにも難しいものではないだろうか。それなのに、やすやすと恋愛をテーマに詩を書く人が多いのは、僕にとっては疑問である。恋愛詩を書くのは十代の人が多いようだが、そのような人生における「感受性の祝祭」の時期に、恋愛というものを詩の形で定着させたいという気持ちはわからなくもない。だが、詩のクオリティということを第一に考えれば、恋愛は周到に避けるべきテーマではないかと思う。何故かというと、詩が自分の感情に負けてしまうからである。彼女(または彼)が好きであるという思いが、詩を書く際に邪魔になってしまう。気持ちが大きければ大きいほど、気持ちを制
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