仄かな言葉/白石昇
かの手がかりを元に、新しい場所に行ってみたい衝動に強く駆られはじめていた。道は確実にどこかへ続いていて、道端ははいくつもの可能性や手がかりにみちあふれていた。
何度か学校の友達と公園へ行った。
その友達の近所に住む男の子が、公園の近くの聾学校に通っていたからだった。その友達と行動を共にするようになったのは、彼女が一番、わたしの掌に言葉を書いて、いろいろな事を教えてくれたからだった。
いつも公園で会うその男の子は、わたしの臍くらいの背丈で、私が何かを訊くと、返事の代わりに私の腿に肩をぶつけて答える、元気な男の子だった。
わたしは何度か彼女と一緒に公園に行って、さらさらとわ
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