海星(ヒトデ)/北乃ゆき
しいのだよ
純銀(ぎん)の輝きを持つ星たちに
私は心を奪われるのだよ
蠢(うごめ)く
ぐにゃりぐにゃり
お前は醜いのだよ
とても醜いのだよ
毒々しいからだを持つお前に
私は悪寒を覚えるのだよ
ぐにゃり
ぐにゃり
海星(ヒトデ)は蠢(うごめ)く
空を見上げて私は歩く
上へ上へと
明るい方へ
明るい方へ
海星(ヒトデ)はただ蠢(うごめ)く
底を見ない
私を
あざ笑うかのように
私は
美しいものを
手に入れる為に上を見上げる
みなくて良いものは
みないように
醜いものは
みないように
海星(ヒトデ)は蠢(うごめ)く
蠢(うごめ)きは
生命体の証
自分達は生命なのだと
それを証明するかのように
生命を見下すものの
愚かさを知るかのように
海星(ヒトデ)は蠢(うごめ)く
お前がみようとみまいと
自分達は
地球の底で
たしかに生きている
と
言わんばかりに
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