痛む息/ねなぎ
傷つける事でしか
見えない痛みを
現実と呼ぶならば
まだ生きていると
実感出来る事に
何の意味が
あるだろうか
長く息を吐く
途切れることなく続く
思考のループに
出口が無いように
いつまでも逃げられない
重たいものを引きずり
あとは飲み込むだけ
不確定性原理を
微小なレベルだけに
限定できなければ
そこには何も
なくなってしまう
物質の影響など
ささいな事でしかないと
ニュートン力学を
第三まで並べても
光と速度の関係が
それらを歪ませてしまう
全ての上に
平等な時間が
流れるとは考えない
意識だけが
それを捕らえ
断片を紡ぐのなら
不安定な感覚が
揺らめくのみ
相対的な
世界と自分
生きることに
意味など無いように
痛みによってしか
現実は認識できない
あとは共有という幻想
感情という電気信号
受信されない符号
変調された現実
ノイズだらけの
歪む精神
痛みに息も吐けない
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