西の陽/松本 涼
 
 

西へ動く陽が
葉を透かしている

その光は余りに眩しくて
私は見つめ返すことが出来ない


陽の動きは思うより早く
地に落ちる前に
ビルの向こう側へと吸い込まれていった


そして再び葉はその内部を隠し
私は肌に鈍い違和感を感じながら

空に残った色彩のエンドロールを
そっと見つめ返すのだ
 


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