初期詩篇選集「尾行者の音楽」/岡部淳太郎
 
こにはお前の父と母が歴史を背負
って立っている。その奥には更に父と母、どの果てまで行
っても、そのぶん古い父と母。この連血は永遠だ。それが
お前の宿命さ。終りのない、どこまでも分かれてゆく一行
の枝。淋しいだろう、ひとり切られることは。

いま、この果てからあの果てへとさかのぼる系図。俺の種
はどこにある。俺の土壌はどこに広がっている。始まりは
どこか。終りはいつか。さあ、回るんだ、人間よ。自らの
足下にぐらつきながら、どこまでも回るんだ。自らの因縁
に脅えながら、いつまでも回るんだ。太陽の下、お前の血
の系図が透きとおって見えるのが、それが宿命。}




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