初期詩篇選集「尾行者の音楽」/岡部淳太郎
 

群集心理はそれぞれの都市で勝手に動いている

道の終着点の
大きな街路樹の下に坐りこんで
この街とどこか遠くの場所を二重映しにして見ている
観察者としてのわが人生
僕はひとまずペンを置き群集に微笑む
彼等が赤信号の前で立往生しているその光景に
さっきの幻が重なる
どこか遠くで
大きな旅人が砂漠を乗り越えている}


Piannissimo Through The Night


{引用=ほら 夜だ
きみのこころに たいようのかすかななごり
ふと きづいてみると
夜におきているのは きみひとり
りんじんたちの ねいきが
かすかに 夜のはをそよがせる


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