とにかく/haniwa
ども誰かが あるいは全員が
「あしたはもっと遠くまで行こう」
と 言ったのだ
線路道路電線 サーチライトの照らす先
そのもっと先に
ここよりずっと大きい街があるなんて
僕らは本当に信じてしまったのだろうか?
地図にない場所には何もないのだと
誰もが断言するであろう当たり前のことを
どうして僕らは 考えなかったのだろうか?
僕の靴はもうぼろぼろだ
最後に食べたのはカロリーメイトだ
それは前の二人もおなじだ
だけど彼らの目には何かがみえている
ほんとうの真っ暗闇の 起伏もない 星明りもない 木々の囀りすら聞こえない
疑い続ける僕らがたどり着いてしまった 罰のように完全に何もない場所の中で
それでも何かをみている
だから笑顔で僕に手を差し伸べる
「大丈夫か?ちょっと疲れた?」
ほかになんと答えられるだろうか
「大丈夫 もっと遠くまで行こう」
そうして僕らは歩き続ける
三人しか知らない場所の 三人だけの暗闇の中で
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