清らかさと性について/渡邉建志
恋ってどんなものかしら。池に泳いでいるものですよ。
夜、庭を歩いていて池のほとりでぐんにゃりしたものを踏んだ。わたしは逃げた。
鯉は夜、飛ぶのだという。そのころ、庭ではよくぽちゃん、ぽちゃんという音がしていた。彼らは何からか逃げようとしていたのだろうか。
授業中に射精したことがある。人間は性的な興奮以外の興奮で射精することがある。僕はいつも動きがのろいので、教室の移動のとき、いつも最後で、なにものかに(先生かもしれないしじぶんかもしれない)に焦らされた。小学4,5年生のときから、音楽室からの移動でいつものろい僕は、無言の抑圧を感じて、なにか
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