花束を/a.u.i.
ホームに慣れすぎた鳩
繋いだ手は確かにふたりだけど
人間でいえばひとりぶんだ
音に成ることを知らず逝かれた言葉は
喉の奥で熱くなったのち
換気扇から抜けていった
せめて、と思い私は
吸い殻を縦にした
立てた悲しみとフェンスの隙間からは
つぅー、と結露が線を引いて明日を繋ぐのが見えた
先生はそれを見て
頭がいいか悪いかというのは
この線の上か下か
という、
たったそれだけのことだ
と、言った
泣いていいよ
泣いていいよ
泣いていいよ
泣いていいよ
言葉は人を救えるか、
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