ノーザンライト/仲本いすら
 
 そうだ、この街を出よう

いつかのスケッチブックと メモの切れ端
一昔前に流行ったいじめられっこの唄
キャスケット深く被って
誰にも ばれることのないように

 そうだ、この街を出よう

思い立ったが吉日って、言うじゃない?
その言葉に、半信半疑だった君も
あの陰気くさい病室を出たときから
今はもうはしゃいで

「 あれが、海なんだね 」

だなんて、車窓からはしゃいでる

 まずは、雪国にいこう

雪なんて、見たことないなんてことを
前に君が話していたから

咳き込む君の体を 無理につれて



「 雪は、もうすぐかなぁ 」


あのトンネルを抜ければ、きっと雪国だよって
どこかの小説みたいに


あと、もうすこしだから

まだ、寝ないでおくれよ


 あの街を出よう。





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