森/
アンテ
近づいていった
お后様は大樹の幹に呑み込まれて区別がつかなくなり
大樹はますます成長して
国のはずれから世界を静かに見下ろしていた
人のようなものたちは
寄り集まって集落をなし
木々を切り倒して住みかや道具を作るようになり
時には諍いを起こして互いを傷つけあったが
国のはずれにある立派な大樹にだけは
決して近づこうとはしなかった
日が昇り日が沈み雨が降り風が吹き
季節がくり返され
森は次第にその領域を減らしながら
わずかに残った動物たちを守りつづけた
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