月蝕/ミゼット
 
坂の上から見た

雲の切れ間に光を見た



節足虫が地べたに噛り付いて

落下した小指を解体し始める

(そう 失ってしまいましたから)

(そんな風に 失くしましたから)

「どうぞ、安心して。お休みなさい」



はばたきを繰り返す

耳元で百舌鳥が啼く

蹄、蹄、蹄、蹄、蹄、蹄、蹄……



ぬるい風が吹いて、

その中に花を見る

喉の奥で花を見る


その、やくそく。
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