花監禁/千月 話子
 
理科教室のカーテンの陰
ビーカーに入れられた
子供の悪戯とクロッカスの球根
こっそりと 育つ日々



昼の太陽 夜の月
揺れる隙間から漏れる
光りの栄養を貪りながら
薄情な薄明かりの中で
美しい水を 夢に見る



マグネシウムを燃やしたら
綺麗な花が咲きました。

アンモニウムを煽ったら 
全ての花(鼻)が死にました。

そして 誰も居ないくなった・・・




忘れられた球根とビーカーの未花よ
世界の窓の片隅で小さな息を吐きながら
膨らんだ希望 膨らんだ夢
取り出して握ってみたら
心臓の鼓動のようにするのだろう
まだ 生きているの
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